高等英文解釋研究 第6問

 

かつてのイギリスとアイルランド間の対立は国家同士や階級同士のそれであったが、選挙権の拡大に伴い国民の大半が国政に影響を及ぼせるようになった今、アイルランドを弾圧するか否かは国民の手に委ねられている。すなわち、国民同士の対立が始まるかもしれないということであり、もし一国民が他国民を弾圧するようなことが起きようものなら、それは国の統治者が同じことをするより遥かに痛ましい光景となろう、などという演説文です。

なかなか手ごわい文章でした。歴史に疎いことも相まって、初見では話し手がイギリス側なのかアイルランド側なのかわかりませんでした。「600万の諸君」 (Six millions of you) と言っていることから恐らく第3次選挙法改正(1884年)後に行われた演説なのでしょうね。

イギリスのグラッドストン内閣の1884年、農村労働者にも選挙権が拡大され、成年男性の多くが有権者となった。

内容 第2回選挙法改正では、都市部の選挙区で「戸主および10ポンド間借人選挙資格」は、州選挙区(農村部の選挙区)には適用されなかった。そのため、農村労働者は選挙権拡大から取り残されていた。そこで1884年、自由党グラッドストン内閣(第2次)は、州選挙区でも同様な資格都市、農村労働者に選挙権を拡大した。

意義 その結果、農村労働者の大部分が有権者となり、有権者はそれまでの約300万人から約500万人に増え、大幅な増加となった。これによって労働者階級の選挙人が初めて過半数を超え、議会制民主主義の発展に大きな前進となった。
引用元:https://www.y-history.net/appendix/wh1201-070.html

この演説をしたのもグラッドストン首相のようです。1898年に88歳で亡くなったとのことなので、演説の時点で少なくとも70歳は超えていたことになります。